まだまだ、いろいろな美味しい大麦粉レシピができそうな予感がしています。

季節感と素材そのものの風味を大切に、おしゃれで作りやすいレシピが評判の松田美智子さん。「料理とは、理(ことわり)を料(はか)ること。調味料は、味を調べて料(はか)るという意味です。料理は科学(決まり)なのです。味を見て、決まりを守って作れば、誰でも美味しく作れます」。昔ながらの料理の知恵を大切にしながら、時代に合わせた変化も必要と松田さん。現代人の悩みである、成人病予防なども踏まえたヘルシーなレシピも得意です。20年ほど前から日本雑穀協会の理事も務められ、大麦をずっと食べ続けてらっしゃるとか。大麦をはじめとする雑穀の調理や機能性に精通されています。今回は、大麦粉を使って、「混ぜる」「つける」「ホワイトソースを使いこなす」の3つの使い方を教えてくださいました。

==大麦のイメージはどのようなものでしたか。

まずは、腸活、そして腸活からの美肌効果、さらにダイエットなどを思い浮かべますね。雑穀の中でも食感が楽しめるのが魅力的です。ご飯に混ぜたり、お肉に混ぜたり、スープに入れたり。大麦だけでライスサラダを作ってもよいですね。自分でも日々のごはんにたくさん取り入れています。

継続して20年くらい食べています。美味しいし、食感の楽しさもあり、しかも腸活効果もあるから食べ続けてこられたのだと思います。

最近では、「腸脳相関」という言葉もありまして、「腸によい」ということは、「脳によい」ということ。そんな意味でも、大麦は素晴らしい機能性を備えた雑穀だと思います。

==食べて健康になることとは、ご自分にとってどのような意味をもちますか?

「食べて健康になる」のは当たり前のこと。医食同源とはよく言ったものです。「食べるために生きるのか」「生きるために食べるのか」という、究極の問いかけがありますね。私は、「食べるために生きる」派ながら、実は食べて健康になるのはありがたいことと思ってます。

こちらの食材よりも、あちらの方が健康効果があるって知っていたら、きっと健康効果のある方を選ぶでしょう。そして、いかにそれを美味しく食べるかを考えるのが好きですね。

==大麦粉を使ってみていかがでしたか。

大麦自体はずっと使ってきましたが、大麦粉は初めてでした。

たっぷり混ぜれば、大麦粉特有のむっちり、とろっとした食感が楽しめます。食材につけて蒸したら、旨味を閉じ込めてくれて、ふわりとやわらかく仕上がりました。

また、油との相性がとてもよく、大麦粉をつけて揚げれば、カリッと仕上がります。旨みや風味もアップしますし 食感もよくなりますね。糖質を抑える働きも期待できるので、なるべく健康的な油と組み合わせていくのも食べやすい方法です。

ホワイトソースは汎用性が高いので、いろいろなお料理にご活用ください。冷凍すれば、いつでも使えるので便利です。

まだまだ、いろいろな美味しい大麦粉レシピができそうな予感がしています。また、皆様にお知らせできるようにしていきたいと思います。

==今回、ご紹介いただいた中で、松田さんのイチオシのレシピはどれですか。

油で揚げた料理でしょうか。「ひろうす」はぜひ作ってみていただきたいです。

 今回は家庭料理風に、椎茸、人参、きくらげーーこれはビタミンKで健康効果がアップするのでぜひ入れていただいてーー木綿豆腐と魚のすり身に混ぜ、大麦粉をたっぷりつなぎに。カリッとして中はふんわりとろり。つい手が伸びてしまいます。冷凍にして、次の日にまた使い回せるので重宝します。

揚げものは大変と思われる方もいらっしゃると思いますが、やはり、手間をかけてちゃんとしたもの作ってみたら、それがどんな素晴らしい効果をもたらしてくれるか感じていただけると思います。健康効果のある食材を使うのであれば、ちょっとした手間ではありますが、ときどきは手間暇かけて作ってみてください。その美味しさとヘルシーさに納得されると思います。また、じゃがいもに大麦粉をたっぷりつけて揚げるフレンチフライもカリッと仕上がっておすすめです。にんにくやハーブ、スパイスをじゃがいもにすり込んでから大麦粉をつければ、さまざまなバリエーションが楽しめます。

ぜひお試しを。

==美味しさと健康の関係

美味しいものを食べて健康でいられるということは理想的です。そのために、自分の体の状態をまず知ることが大事です。自分の体がどういう状態なのか、知っているつもりでも、ある程度の年齢になってくると変化もありますし、気付いていないこともあります。自分の体の状態をきちんと把握して、足りないぶぶんを補うつもりで、おいしく食べるのがよいでしょう。とはいえ、健康ばかりを意識した食事ですと、味が二の次になることもありますから、1週間単位で栄養バランスが取れていたら 私はよしとしています。例えば、お酒をいただいたり、たくさん食べすぎたりした翌日には、大麦粉を使ってみてはいかがでしょうか。体のリセットになるはずです。

松田 美智子●料理研究家
季節感を大切に、食材そのものの風味を生かしながら、作りやすい家庭料理を提案。「理」にかなった調理法の追求もしている。その知識と経験を詰め込んだ調理道具ブランド「松田美智子の自在道具」を立ち上げ、人気を博す。日本雑穀協会理事、テーブルコーディネーター、女子美術大学講師。
HP:http://www.m-cooking.com